重陽の節句 Chrysanthemum Festival
重陽の節句
重陽の節句に咲く菊の花は、
そも露の水、その香りを移した酒を口にして、心を清め、長寿を願う。
能「菊慈童」は、この祈りを形にしている。
永遠の命を得た慈童は、その秘密を独り占めにせず、菊の露の水を帝と人々に分け与える。
それは若さを与えること、そして与える行為そのものが、真の長寿であることを示している。
盆栽もまた、生命を留め、育て、受け継ぐ芸である。時間経過の芸術。
限られた枝葉の中に無限の時を見るとき、人は、与えることで生き、伝えることで永遠となる。
永らえることよりも、生を伝える清らかさこそが永遠に若くあるということである。
菊も、盆栽も、そして慈童も――
若さとは、命を美しく手渡すことなのだと語りかけている。
日本文化デザイン by 真矢 in 春花園



